ブリーフと目的

 

SIDOは東京に本社を構えるアンダーウェア(下着)のブランドです。このブランドが特別なブランドである所以はその素材にあります。SIDOは特許を取得した特殊な製法で包帯から生地を作り、その生地で作られた下着は最高級品質のコットンのような肌触りと通気性を持ちます。その品質の高さは医療用に使用される包帯に匹敵するほどで、富山県にある工場で職人の手によって丁寧に作られているのです。また、全ての製造工程が熟練したプロフェッショナルによって、高いモラルと規範のもとで製造されています。結果として、他のブランドを寄せ付けない高い品質、軽量性、柔軟性、通気性、履き心地を併せ持つ特別な下着が作られているのです。

このプロジェクトの目的は、製品の機能性への訴求だけでなく若い世代におけるブランド認知度の向上、グローバルブランドとしてのポテンシャルの開花とポジショニングの確立、そしてビジネスにおける製品ラインを効果的に増やせるブランドアーキテクチャの構築でした。

ストラテジー

最初のステップは、戦略的分析を通して、ブランドが包含している価値や哲学を見極めることでした。日本の伝統に通じる高い技術を用いたモノづくりと共に生まれたブランドの基盤の上にビジョンを描き、ブランドとして果たすべきミッションを見極め、そしてブランドの戦略的なポジショニングを導き出しました。このプロセスを通して、目に見えないブランド独自の価値と、製品が持っているポジティブな要素を抽出し、それらをもとにブランドアーキテクチャを構築しています。これら全てが “The fun in function”という言葉に集約され、格好良さ、セクシーさ、クリエイティブ、オリジナルといった要素を表現すると共に、楽しさといったプラスの感情と機能性をリンクさせています。

ビジュアルアイデンティティ

新しいブランドのアイデンティティとなるデザインは、分析と戦略フェーズを通じて導き出した“The fun in function”という新ブランドの根幹にあるコンセプトを反映しなければなりません。機能性だけでなく、モダンで魅力的なイメージを兼ね備えたブランドを視覚的に体現する必要があります。そこで、ロゴを厚みがありエレガントなデザインに進化させ、書体は包帯という素材が持つ伸縮性を表現したものを選定しました。また、タグラインには SIDOというブランドにとって一番の資産である”包帯”を組み込んでいます。あえて日本語表記で包帯の文字を入れているのは、“made in Japan”というブランドの価値を瞬時にコミュニケーションし、直感的に高品質であることを消費者が国籍に関わらず理解出来るようにするためです。また、シンボルマークに “S”を使用しているようにSIDOというブランドの頭文字に特別な扱いを施しています。包帯生地が生み出す曲線と白黒のパターンを”S”という文字に融合させることで、包帯の生地が持つ高い通気性の隠喩となっているのです。

グラフィックシステム

ストラテジーフェーズでSIDOの製品ラインを整理した上で、ブランドアーキテクチャを構築し、各製品の明確なカテゴライズを行いました。次に、整理された各製品ラインが視覚的にも、混同されることのないように整理に取り組んでいます。それぞれのラインが他のラインと明確に違うデザインであると同時に、ブランド全体のアイデンティティとの関連性を保ち、それぞれが共存している高度なデザインを行う必要がありました。

そこで、各ラインにシンボルとなる一文字を割り当て、文字の書体は包帯の素材が描く模様と折り目、そして日本庭園に見られる曲線をイメージしたものをデザインしたのです。プレミアムラインにはSIDOの頭文字である”S”、ベーシックラインには包帯の”H”、スポーツラインにはエクストリームの”X”、そして他ブランドとのコラボレーションには”&”を使用しています。これらのシステムを基盤に、男性用と女性用のデザインをそれぞれ作り上げています。また、色、パターン(模様)、写真のスタイル、イラストレーション等、全ての視覚的コミュニケーションの在り方を定義し、一貫性のあるブランドコミュニケーションを確立しています。

パッケージング

製品のパッケージは、ブランドと消費者が接する最も重要なポイントの一つです。店頭でのインパクトをどのようにデザインするかは今回のプロジェクトで最もチャレンジングな部分の一つでした。この課題に対して、デザインチームと戦略チームが共同で取り組み、ブランドとしての認知度を向上させると共に、製品ラインごとの違いを際立たせるための試行錯誤を繰り返しました。こうしたプロセスを経て、各ラインの個性を際立たせつつも、ブランド全体としての一貫性を持ったパッケージデザインを実現し、消費者のブランド体験をより特別なものにしています。

ラベリング

パッケージをデザインする過程で、ラベリングと製品識別システムも構築しています。製品の属性の中で最も重要な要素の一つは日本製という点です。この点を強調し、消費者にとってより明確なコミュニケーションを行うために、日本製の品質を示すステッカーをデザインしています。このステッカーは日本の象徴の一つである富士山の輪郭を描き、その輪郭が描く線は包帯の糸を表しています。デザインされたステッカーは日本国内で製造されている製品のパッケージの表面に貼られ、100%日本製の包帯であることを保証します。

また、パッケージ裏面のアイコンも同様にデザインしています。100%包帯生地を使用した製品には “Original Hohtai”というアイコンを、生地は包帯ではないが包帯を編む技術を使用している製品には“Hohtai Technology,”というアイコンをパッケージの裏側に表示しています。

加えて、パッケージの上部には製品の機能性やスタイル、サイズといった情報を伝えるためのラベルをデザインし、各製品の明確な違いを消費者が直感的に理解出来るシステムを採用しています。

その他のタッチポイント

パッケージに加えて、宣伝広告用のポスターやステーショナリー、ラベル、広報資料、バッグ等のグッズ、 ソーシャルメディアのアバターなど、ブランドを構成する様々な要素のデザインも行なっています。バランスの取れた視覚的要素の使用は、“Nothing is cooler than the coolest Japanese brand”(最もクールなジャパンブランドよりもクールなものはない)というブランドのキーメッセージを伝える鍵となります。

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